top of page
IMG_8787.jpeg
d72460-1-533685-5.jpg
YHIAISM ENTREPRENEURSHIP AWARD 受賞

『中古着物の販売・着付け・コーディネートの一気通貫オンラインサービス』

領域:着物文化

融羽子
着付師

参加前より持っていた課題意識とインキュベーションプログラム参加の経緯

日本には素晴らしい伝統文化がたくさんあるにも関わらず、良さが周知されていないものでしたり、評価されにくいもの、廃れかけて いるものが多いことをもったいなく感じておりました。

 

中学卒業後、舞妓になるべく花柳界という世界に入り、伝統的な文化、美術、 芸術に近しい生活を送ってきた自分は、一般の同年代の方々より、そういった意識が強くあったかと思います。

自身の経験や知識を生かして文化的事業に貢献できることはないかと常々考えておりました為、当初はプログラムを通してジャンルを 超えた出会いや、花街、和装文化に関する知識を必要とされる方が おられるならばそのお手伝いができればと思い応募致しました。

プログラムの中での学び、良かったこと、世界が広がったこと

いざ参加させて頂くことが決まった後、キックオフをはじめ様々な 場面で新鮮な驚きを感じました。まさに自分が関わったことのない 業界の方ばかりでしたので、まずは共通言語として使用されるビジネス用語を調べることでしたり、自分の用いる言葉が専門的過ぎないか慎重になるといったことに心を砕きました。
 

プレゼンや資料作り自体が初めてでしたし、デモデイまでに思い描いたものがまとめられないのではないかという不安から、途中辞退 について考えた瞬間もありましたが、事務局やメンターのサポート のお陰もあり無事やり遂げることができました。不慣れな事にも向き合い、プログラムを通して新たな自信を得ることができたと思います。

ビジネスと文化の隔たりにどのような大変さを感じたか、またそこを埋めるために意識したことなど

プログラム上での一つの目標はデモデイに審査員や参加者の方々の前でピッチを行うことでしたが、この為に自分の中のビジネスイ メージを変更しなければいけない点がありました。 
 

これはビジネスとして収益を上げるために効率が良いと思われる方法と、自分の理想とする文化芸術との関わり方が一致しない為でした。 この辺りはMTG中にメンターの方にもご指摘頂きましたが、良くも悪くもアーティスト気質であったのかもしれません。 投資家や想定する顧客を納得させる内容より、自分がよいと思える かどうかの方が大切に思われたのです。ですが、理想だけを詰め込んでは小学生の作文になってしまうので、結果的にもう少し大人のふりをしてプレゼンしてしまいました。 
 

文化を守りながらビジネスとするのは本当に難しい事であると感じています。守りたいものを武器としなければならない、といいますか...これについては今後も苦労していくことと思います。 

ビジネスに関心を持ったきっかけ

正直にお話ししますと、私の元の職業は辞めてしまうと本当にその後が厳しくて。舞妓、芸者として10年修行いたしましたが、引退後はアルバイトをしながら時々日舞の披露やお芝居、モデル、着物の スタイリングや着付師といったことをお受けしておりました。
 

先だってお話ししましたように、義務教育終了後すぐに修行に入る為、経験に偏りがあり、どうしても引退後の進退に限りがありま す。 着物や伝統文化、伝統芸能に対する知識は人より豊富でも、それを社会で求められる機会は少ないです。良さを知っているのに伝えら れないのはもどかしい思いですし、生かせる場に乏しいのであれば自身で作ればいいのでは、ということで起業にも興味がありました。 

文化芸術従事者のアフターキャリアに対する考え方

特に花柳界は引退後のことを考えて入る人は少ないですし、辞めた後は世間からすれば浮世離れした学歴のない女の子。必死の思いで 身につけて来たことが役立たないとなると悩みもしました。同業でなくても、専門的なことを学ばれて来た方で似たような状況にある 方はいらっしゃると思います。 
 

そういった人々が自信を持って生きていける道を自ら切り開くためにも、今回のプロジェクトのような起業のサポートでしたり、能力が必要とされる環境に巡り会える機会というのはとても価値のある事と考えます。 

他の参加者との交流や印象

振り返ると、他のチームの方とあまり積極的な交流ができずにいたのは勿体無い点でした。チームが一人となったことで、自身の課題や進行にプレッシャーを感じ気持ちに余裕がなかったり、チーム同士の距離感を測りかねた事が原因であったかもしれません。そのような中、中間発表時に頂戴した沢山のコメントはとても励みになりましたし、また各チームのプレゼンからはそれぞれ向き合っておられるものに対する真剣さを感じ、度々感銘を受けていました。

講義で印象に残ったこと

実際に起業家の方にスタートアップ時の様子を構想段階からのお話を伺える機会というのは今までありませんでしたので、とても勉強 になりました。また、YHAISM様の講義の中にあった「文化遺伝子」のお話も面白かったです。生物学者が書かれた本の紹介から始まるのですが、興味深く拝聴させて頂きました。講義を通してプログラム中に自身の抱える課題と向き合う事ができ、大変意義ある時間となりました。 

メンターについて

事務局の方から「合うと思う」とのお勧めがありご担当くださったメンターの方には大変お世話になりました。ビジネスに疎い私のレ ベルに合わせ根気強く丁寧にご指導くださり、週に1回ペースでのMTG、進行の管理をお任せし、生じた課題を翌週提出するという流れの中、些細な質問にもしっかり答えていただきました。本当に感謝しております。

事業を通して解決したいテーマ

事業のテーマはミーティングを重ねながら度々形が変わったものの、一貫して「やりたいこと、できることをビジネスにする」と定 めておりました。 課題の解決というととても大きな目標に挑戦しなくてはいけないような気持ちになりますが、自分の場合は着物文化に知見があるとしても、その業界を変えるというような大志は抱かないようにと気をつけておりまして、プレゼンを通し、周りに業界の課題に対する自身のアイディアに興味を持っていただくには、実現できそうなことから、また自分自身の課題を解決していく ことから取り組んでいくことが大切なのだと学びました。

 

やりたいことがあり、それができていないという現状を、できる方法を考え一つ一つ形にしていくという事を諦めずに頑張っていきたいと思っております。 

5年後10年後の事業構想

まずはネットショップに関しては国内向けに準備していますが、着物は海外の方に拡めたい魅力的な文化ですし、少しずつ規模を広げ ていけたらと考えております。様々な方に少しでも着物を気軽に着ていただけるように、自分がずっと着物を着ていられるように、着て楽しめる場や機会作りにも取り組んで行きたいです。

S__9568297.jpg

直近の事業の動き

中古着物のEC販売と、オリジナル商品の開発です。Instagramを使ったマーケティングも準備中になります。どんな人間が見繕う着物な のかというアピールも大切かと思うので、自身のプロフィールサイトの作成も行いました。 

現在の課題と協業したい方について

一緒に商品を使った作品撮りが可能な方、着物の作りにある程度知 識のあるデザイナーの方と繋がりたいです。もしくは現在個人で全てを行っている為、一緒に経営に参加していただけるような方との出会いもあれば。 興味を持っていただいた方、私の持っている知識やスキル等を必要としていただける方がいらっしゃったら何方でもご連絡いただきたいです。

CILの参加者へのメッセージ

文化芸術分野に特化している方ほど、ビジネス面での生かし方に悩 まれている方は沢山いらっしゃるのではないでしょうか。解決すべ き課題は多くありますが、その一歩として本プログラムへの参加は 非常に価値のあるものになるかと思います。 皆様のご活躍をお祈りしております。

最後に

この度は、YHIAISM ENTREPRENEURSHIP AWARDにお選び頂きましたこと大変光栄に思います。ビジネスに関して全くの素人である自分に柔軟にご対応くださったメンターの吉見様、細やかなフォローで支えて頂いた事務局の皆様、沢山の刺激を頂きました参加者の皆様へ、この場をお借りし改めて感謝申し上げます。貴重な体験をさせて頂き、有難うございました。

bottom of page